BIツールで資料作成や棚卸作業の大幅な効率化を実現
株式会社ギンポーパック様
- 背景・課題
- 基幹システムからのデータ抽出・データ分析時の作業効率改善
- 導入ポイント
- 脱Excelでのデータ管理
- Webブラウザでの定型処理の共有と管理
- ITリテラシーが低い方でも使える操作性
- 効果
- 資料作成の作業時間が大幅短縮
- 日々必要なデータを営業マンが自分で出力
- 棚卸作業の精度向上とスピードアップ
データ分析時の作業効率改善がねらい
ギンポーパックでは迅速かつ的確な経営判断を実現するため、2013年に基幹システムを富士通株式会社のGLOVIAsmartシリーズを採用し、別々だったシステムを刷新した。これとあわせ、基幹システムからのデータ抽出・分析・定義化を目的にWebQuery/FreeWayを導入した。
従来のシステムでは会計、販売、生産など、業務ごとにシステムが別々でデータも異なるデータベースに蓄積されていたため、データ分析作業の効率に問題があったと横関氏は言う。
「各システムが使うデータベースの種類・データのコード体系・文字コードもすべてバラバラでした。それに加えてデータ抽出用のツールが未導入だったため、データ分析用の資料を作るにはまずデータを各データベースから手書きのSQL文で抽出して一旦Excelに集め、それからExcelの数式とピボットテーブルを使ってデータの連結や加工をするという流れで行っていました。そのため月末締め後の3営業日は朝から晩まで資料作成でした。しかし資料の完成後に『日付範囲を変えたい』『別のマスタデータも結合したい』など変更の依頼も多く、その場合は再度データ収集とExcel上での編集を繰り返す必要があり、非常に手間でした。経営層からもスピード感のある対応を求められていて、何とかしたいと思っていました。」
さらに他にも2つの問題があった。
「社内のITリテラシーが低かったためエンドユーザーにデータを渡して加工してもらう事が難しく、システム部門で資料化してほしいという要望に対応していました。ピボットテーブルを設定するなどして対応していましたが、1資料15分~30分程度、1日3~4件程度の作成依頼が日常的に来ていました。また会議と資料の種類が多く、細かな形式の変更やデータ追加要望が多い上に、毎年変わる経営方針に合わせてほとんどの資料を作り直していました。」
決め手は脱Excelでのデータ管理
これらの問題点を解決するため、基幹システムの刷新と基幹システムのデータ分析ツールとしてWebQueryを導入した。選定の理由を横関氏は次のように語る。
「検討を始めたタイミングでシステムコンサルタントさんがたまたま営業で来られたので『これも何かの運命ではないか』と感じ、すぐ導入の検討を始めました(笑)。はじめはExcelベースのExcellentの方が運用上合うと思いましたが、データをExcelに出力して編集を重ねる内にどれが最新か分からなくなる、『Excel資料の一人歩き』や『最新版が行方不明状態』から脱却したい、中間データは作らせずに無加工で抽出したいという想いがあり、WebベースのWebQueryに決めました。」
資料作成時間が3日から3時間に改善。営業自ら日々必要なデータを出力可能に
WebQueryの導入による効果について、横関氏は以下を挙げる。
「まず定型処理を修正してデータの抽出から資料に加工するところまで、Excelのマクロも活用して自動化しました。これによって資料作成のスピードが改善されて、月末締め後に3営業日かかっていた資料作成が3時間ぐらいでできるようになりました。経理からも『非常にいいね』と声をもらっています。それから最新データはWebQueryから抽出するようにしたことで『Excel資料の一人歩き』がなくなり、日々必要なデータを営業マン自身で抽出できるようになりました。さらに日常的に発生していた会議資料の細かな形式の変更やデータ追加の要望についてはWebQuery/FreeWayの定義情報を修正することで柔軟に対応できるようになり、深夜に及ぶ残業で対応することはほとんどなくなりました。」
各工場の棚卸作業をスピードアップするべくハンディターミナル、iPad、WebQuery Mobileを導入
WebQueryはギンポーパックの本社や営業所だけでなく、食品包装パックの全4工場での棚卸作業でも活用されている。この棚卸作業で使われているのがWebQueryのiOS用アプリ「WebQuery Mobile」だ。同社では基幹システムの刷新に続けて棚卸業務のスピードアップをするべく、ハンディターミナル、iPad、WebQuery Mobileを導入した。
導入前の問題について、横関氏は次のように振り返る。
「従来の棚卸作業は年2回、朝7時から夕方まで一日掛かりで行っていました。在庫の調査は商品を数える担当と紙の在庫表に記入する担当の2名1組のチームで行い、紙の在庫表に実数を記入するというやり方でした。しかし実数のカウントミス・記入ミス・転記ミス・入力ミスなどの人的ミスが頻発し、在庫データの精度が低下していました。また差異がある場合は倉庫チームが再調査をするのですが、その間は事務所チームが暇になり、逆に事務所チームが紙の在庫表から入力中は倉庫チームが暇になるという時間の無駄もあり、一度に何とかできないかとの意見が出ていました。」
問題はそれだけではなかった。
「各工場の人員約20名では足りなくて、営業や管理部門からも応援人員を約15名派遣していました。役員からお菓子の差し入れが出てきたり、もはや会社のお祭りのようなイベントになっていて、棚卸について話すと『棚卸し?そうか~ついにその時期が来たか』と返事が返ることもありました(笑)。しかし製造業での棚卸しは特別な日ではなくて、月々の業務の一部だと思っていてほしくて、仕組みを見直してスピードアップをしたかったです。」
「それでハンディターミナル、iPad、WebQuery mobileを使う仕組みを作りました。いくつか選択肢がある中でWebQuery mobileに決めた理由は、導入コストの安さとiPadにアプリを入れて棚卸し用の定型処理1つをWebQueryで作るだけという環境構築の簡単さでした。」
棚卸作業でハンディターミナルとWebQuery mobileをどのように活用しているのかを見てみよう(下図)。まず棚卸の準備として在庫データのコピーと空の棚卸データ、在庫データと棚卸データの差異を表示するWebQueryの定型処理をあらかじめ作成する。ここからが棚卸作業で、各担当者が在庫商品をハンディターミナルで一つずつスキャンして、棚卸データに実数を入力していく。そしてWebQuery mobileで定型処理を実行し、在庫データと棚卸データの差を確認する仕組みだ。
棚卸作業の開始時点でこの定型処理で検索すると全在庫データがマイナスで表示され、ハンディターミナルでスキャンする度にWebQuery mobileの検索結果表上の商品が減っていき、最後に残ったものが差異となる。この定型処理は計算式を利用した抽出条件を設定して2つのデータの差が0でないものを抽出する、というシンプルな作りである。
棚卸作業の大幅な効率化を実現。他業務への横展開も予定
この仕組みに変えてから現場での評判も上々とのこと。
「スキャン中に、担当者同士で相談しながら進められるため、時間を短縮できているという声が寄せられています。作業者がスキャンしている最中に『ロット番号は表示しないでほしい』『ソート順を変えてほしい』などと要望が出ても、WebQueryの定型処理を直して連絡するだけなので、修正をスピーディーに反映でき、現場への浸透も早かったです」と横関氏は言う。
棚卸作業の改善の結果、人的ミスが無くなり、誤差数は導入前の10分の1にまで改善。在庫の精度が向上した。また全倉庫同時で入力・集計・確認がリアルタイムでできるようになったことで、待ちという時間の無駄も無くなった。棚卸作業が応援人員約15名の力を借りずに、工場の人員20名だけで午前中に終わるようになり、人員・経費の削減に成功した。
ギンポーパックでは通常業務と棚卸作業の業務効率の改善だけでなく、他にも原料受入業務や出荷業務などへの横展開にも前向きだ。効果を上げる業務改善の取り組みが、これからも続けられていく。
会社概要
株式会社ギンポーパック
管理本部 情報システムグループ
横関 優一 氏
設立: | 1972年11月27日 |
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本社: | 東京都千代田区神田須田町2丁目6番6号 ニッセイ神田須田町ビル3F |
資本金: | 3億6000万円 |
従業員数: | 333名 (2017年3月末時点) |
URL: | http://www.ginpack.co.jp |
ユーザー: | 本社および営業所従業員・工場従業員 |
サーバー: | Windows Server 2008 |
導入DB: | Oracle 11g |