導入事例

BIツールを活用した情報分析で意思決定の迅速化を実現

山崎製パン株式会社様

※情報は取材当時のものです
山崎製パン株式会社(以下、山崎製パン)はパン・和菓子・洋菓子など多種にわたる製品を開発・販売。全国26か所の工場で月間4,000種類、年間だと10,000種類のパンを製造している。現在、同社のパン市場でのシェアは1位。業界で突出した勢力を持ち、独自の流通システムを堅持しながら好業績を続けている。
  • 背景・課題
    • 運用後のデータ量の増大やレスポンス悪化による業務への影響を懸念
    • UNIXサーバからWindowsサーバへの移行
  • 導入ポイント
    • Excelによるデータ活用、帳票作成の簡易化
    • ユーザビリティの高い操作性
    • 膨大なデータも高速処理する性能
  • 効果
    • 意思決定の高速化を実現
    • データ抽出処理を定型化し、作業負担を軽減
    • 自由かつ多角的な分析を実現

情報分析システムの再構築にあわせExcellent/WebQueryを採用

山崎製パンの情報分析システム「営業情報統合システム」は10年以上前に複数工場用として独自に構築され、2001年に全工場のデータをUNIXサーバ上で運用を開始した。ところが運用後のデータ量の増大やレスポンス悪化により、業務への影響が懸念されるようになった。そのため2004年にこれらの問題を解決すべく、同社はシステムの大改修に踏み切った。改修はWindowsサーバへの移行・バッチ処理の修正・WebQuery/Excellentを基にしたシステム再構築、という3本柱で行われた。この時、営業情報統合システムはWebQueryを基盤に柔軟かつ迅速にシステム増強ができるよう拡張性が考慮された。

山崎製パン情報分析システムの沿革

自由な検索、Excel出力を評価

営業情報統合システムの基盤にWebQuery/Excellentが選ばれた経緯について、システムコンサルタントの開発者は次のように話す。

「この製品は、データベースにデータを入れるだけで、山崎製パンや関連会社から自由に検索ができる。検索結果がExcelに張り付けられるため、定型帳票は勿論、報告用の数値取得、資料作成が容易であり、そこが評価された。定型帳票を一度作成すれば、それを流用することで継続的に使えることも選定の要因だろう。」

山崎製パンでは2001年以降、全国の工場からデータを収集し、計算センターのデータベースに日別売上げデータ、週別売上げデータを管理。本社や営業部、全国の工場・営業所から「営業情報統合システム」を通じて各業務の情報分析に活用していた。

2004年に始まったこの大改修の結果、エンドユーザーにとって大きな効果があったとシステムコンサルタントの開発担当者は語る。

「まず複雑な検索に不慣れな人でも、容易に工場での製造・出荷数量の確認ができるようになった。これは処理登録という定型帳票作成機能によって実現された。また検索結果を容易にExcelに出力できるため、利用する明細データを基にした資料作成の負担が軽減された。商品別・配送ルート別・日別・工場別など様々な切り口で分析が可能なため、『商品の売上がどのように推移しているのか』などということが容易に把握できるようになった。」

システム面ではシングルサインオンに対応。これまではExcellent/WebQueryと営業情報統合システムに別々にログインする必要があり、利用者にとって認証手続きが手間だった。それが営業情報統合システムでのログインだけで使用できるようになり、利用者の負担が軽減された。また新たに簡易検索画面を追加。キーワードを入力して項目を選択するだけで検索が可能になり、ほんのわずかな操作で分析できるシステムへと生まれ変わった。

利用者は2000名

そして2009年3月、処理速度のさらなる向上のため最新のデータベースマシンのOracle Exadataと基幹IAサーバのPRIMEQUESTの2台を導入し、データベースを移行した。同社では取扱商品数の拡大にともない、明細データが大幅に増加する一方、営業や製造部門などのシステム利用者が2,000名に達していた。これによりシステムの利用が盛んになる時間帯、朝の5時~9時は処理速度が低下し、満足のゆくレスポンスを得られなくなっていた。

それが2009年の新サーバーへの移行で2,000名のユーザーが膨大なデータにアクセスしても迅速な検索ができるシステムとなり、パフォーマンスは旧システムと比較すると10倍に向上、結果出力までの待ち時間が短縮された。全国の工場・営業所・本社・関連会社などの製造・営業担当者がアクセスし、売れ筋商品は何か、商品をいつどこで販売するのか、各現場において迅速な意思決定がWebQuery/Excellentを使って行われている。

情報の蓄積期間を拡大し、予測精度の向上へ

同社では今後も営業情報統合システムの検索対象データの拡大や検索画面のリニューアルなどが検討されている。また近日、需要予測や在庫予測の精度を高めるため、工場から送られる情報の蓄積期間を年単位で拡大する予定である。

システムコンサルタントの開発担当者は今後の展望についてこう語る。

「まず大切なことは、安心して情報を蓄積・管理できること。次に蓄積された情報から、簡単に有益な情報を取り出せることである。運用性、操作性の向上、そのための機能を今後も充実させていきたい。」

蓄積された情報は企業にとって重要な財産。その情報を使いこなせるかで企業の競争力に差がつく。営業情報統合システムの大改修をきっかけに積極的な情報活用から製造販売計画の最適化を追求する山崎製パンは、市場の激しい変化の中で存在感を際立たせている。

営業情報統合システムの概念図

会社概要

山崎製パン株式会社
(左) システム開発課 松山文雄 氏
(右) システム開発課 澤和孝 氏

設立1948年6月
本社東京都千代田区岩本町3-10-1
資本金110億円
URLhttp://www.yamazakipan.co.jp/
ユーザー2000名
サーバーWindows Server 2003
導入DBOracle Exadata(Oracle RAC 11g)
Windows Server 2003(Oracle 10g)