属人化にメリットはある?属人化業務のリスクを減らし効率化しよう!

「属人化」はネガティブな意味で用いられてることがほとんどです。しかし業務で属人化が進むのはメリットもあるからではないでしょうか。

この記事では「属人化は悪いものだ」「属人化は排除すべきだ」と決めつけず、メリットはそのままにうまく付き合っていく方法について考えていきます。

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属人化のメリット

はじめに属人化におけるメリットを、企業と個人の観点に分けてみていきましょう。

企業のメリット

一連の対応にかかる時間が短くすむ

業務に慣れている個人が対応した方が一連の対応を素早く行えます。

例えば、トラブル発生や緊急の依頼があったとします。熟練した個人が対応することで、素早く対応・解決することができます。組織としてもシンプルな構成で「あの人に聞けば大丈夫」という安心感もあるでしょう。その個人の存在が企業のイメージアップにつながるメリットもあります。

特に次のような職種や業務においては属人化がメリットになると考えられます。

  • 新規の業務、仕事内容が一定ではない業務
  • 専門的な知見や経験が必要と思われる業務
    • 例)営業、コンサルタント、プログラマ、セキュリティ担当、Webマーケターなど

人的コストが下がる

同じ業務を複数人で行うか一人で行うかで人件費が変わってきます。

複数人で対応する場合、教育や業務の連携に時間や費用がかかります。そのため1人で対応する場合には人的コストを削減できる可能性があります。

特に非生産部門・間接部門と呼ばれる総務・経理・情報システム部は、属人化することで人的コストが下がるケースが多くみられます。

個人のメリット

自分の価値が上がる

他の人が担当できない・専門性が高い業務を担当している人は、組織内での価値が高くなります。任される仕事の量が増えたり、重要な取引先を任されることも増えるでしょう。経験を積んでさらに専門性やスキルを磨くことができます。

また社内だけでなく市場での価値も高くなるため、転職でも有利になるでしょう。

自分がやりやすいように仕事ができる

自分だけが担当している業務であれば、周囲を気にせず、自分がやりやすいスタイルや手順で取り組めます。これによりストレスがかからなかったり、作業にかかる時間が比較的少なくすみます。

属人化のリスク

次に属人化におけるリスクについて、企業と個人の観点に分けてみていきましょう。

企業のリスク

  • 担当者が不在の際に業務がまわらない(時間がかかる、質が下がる)
  • 業務がブラックボックス化して管理が難しくなる(引継ぎに時間や手間がかかる)
  • 担当者の性格やレベルに影響されるため、業務が安定しない
  • 専門性が一個人に集まり、その個人への依存度が高い危険な状態に陥る
  • 転職による人材流出と知財損失リスクが高まる

個人のリスク

  • 担当作業が特殊な技術を必要としない場合、成長の機会が得られない

企業と個人それぞれにリスクがありますが、長期的になればなるほどリスクが高まる傾向があります。

属人化リスクへの対策3つ

リスクが最小になるように業務を見直すリスク対策をしておきましょう。そうすることで属人化のメリットをそのまま残すこともできます。

属人化解消の活動は優先度が低く見られがちで、最初は社内で取り組みを進めづらい雰囲気があるかもしれません。関係者の理解を得ながら計画を立て、時間を確保して進めましょう。

業務フローを見直す

一連の業務を整理し、大まか流れや手順が分かるフローを作成しましょう。業務のブラックボックス化を防ぐことができます。このフローを共有することで、誰が何を担当しているのか把握することにも役立ちます。また一部の業務を変更しようとした際も、ほかの業務への影響を確認しやすくなります。

マニュアルを作成する

業務の手順を掲載したマニュアルを用意しましょう。

標準化(業務のマニュアル化)を行うことで、誰でも作業を担当でき、誰が担当しても同じ水準で対応できるようになります。 業務が複数人で共有できるため、自分が居ないときも他の社員が対応してくれるという安心感があります。

マニュアル作成のコツは次の3つです。

  • 説明は文字だけではなく、図や写真、PCのスクリーンショットなどを活用する
  • 手順だけではなく「なぜこれを行うのか」という目的や注意点などもあわせて記載する
  • 誰が読んでも同じ意味で伝わる文章で記載する

わかりやすいマニュアルがあっても、活用されなければ無駄になってしまいます。
マニュアルの保管場所は適切かなども検討しましょう。

情報共有の機会をつくる

担当者だけに業務やスキルを抱え込ませないために、定期的に業務報告の場を設けましょう。作業を任せきりにしないことで、業務のブラックボックス化を防止できます。

専門性が高い業務は、内容や目的などが他の社員に理解されないことがあります。専門的な内容であれば、担当者に説明してもらいましょう。これにより社員同士で相談がしやすくなります。お互いの仕事をチェックしたり、改善のための議論が活発化すれば、業務の質も向上していくでしょう。

専門的な業務を担当していると孤立してしまうパターンがあるので、風通しを良くして相談しやすい環境を用意できるとさらに良いでしょう。担当者が転職してしまうなど、社外への人材の流出を食い止める意味でも有効だと考えられます。

業務の属人化とどう付き合うべきか

「属人化=悪」と決めつけず、メリットも把握した上で最適な対応ができることが肝心です。

専門的で複雑な業務に対応は、標準化が難しく属人化した状態が必要なこともあります。意図的に属人化した状態のままで運用するのもいいでしょう。

属人化をコントロールして業務を最適化しよう!

専門性の高い知識・経験を持った人の存在は必要不可欠です。最初は負担になるかもしれませんが、周囲の社員とコミュニケーションを取ってもらい組織全体のスキルアップに活躍してもらいましょう。

業務を標準化して誰でも同じようにできる状態とまでいかなくても、専門性の高い知識・経験を持った人とそれに近いレベルの人が複数いるような組織を目指すことが大切です。

専門スキルの必要な業務を組織立って対応することで、個人の負担が減り、クリエイティブな活動の時間を増やすことも期待できます。

また意図せず属人化状態になっている業務は、しっかり見直しを行いましょう。対策では「効率が悪くならないこと」「社員がスキルアップできること」「長期的に運用できること」が重要です。

業務環境の整備や組織化を検討することで、属人化とうまく付き合っていくことができます。

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資料内容
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  • 第2章 ユーザー教育が失敗する2つの要因
  • 第3章 ユーザー教育の進め方
  • 第4章 ユーザー教育実践事例