BIツールでSQLを活用するには?特徴を知って効率よくデータ活用しよう

ノーコード・ローコード操作でデータ抽出処理を簡単に作成できるBIツールは世の中に数多く存在しています。その一方で、GUI操作だけだと設定しきれないような複雑かつ高度なデータ操作を行いたい方や、もっと効率の良いデータ抽出処理を作成したい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事ではSQL記述やBIツールのGUIでデータ操作を行う場合のメリット・デメリットや、効率よくデータ検索・分析を行うためのポイント、またデータ検索のレスポンス改善事例などについてご紹介します。

SQLとは

リレーショナルデータベース(RDB)にデータを格納し、処理を施す際に用いられる、最も普及しているデータベース言語です。クエリと呼ばれる命令をデータベースに送ってデータを操作します。命令の出し方として、SQLのコマンドプログラムに直接命令文を入力して操作する「対話型」と、プログラムの中にSQL文を埋め込んで操作する「埋め込み型」があります。

SQLによる命令の出し方として、SQLのコマンドプログラムに直接命令文を入力して操作する「対話型」と、プログラムの中にSQL文を埋め込んで操作する「埋め込み型」があります。

SQLでできること

データの定義

データベースオブジェクト(※)の定義を作成、削除、変更に用いられるのがデータ定義言語(DDL/Data Definition Language)です。開発環境から検証環境、検証環境から本番環境へなど、他の環境へデータを反映させる際にも用いられます。このようにデータ定義言語を作成することで、他の環境へ効率よくデータを反映できます。

※データベースオブジェクト:テーブルやビューといったデータベース内の構造・要素のこと

データの操作

データを登録・更新・削除する際に用いるのがデータ操作言語(DML/Data Manipulation Language)です。データ操作言語を活用することで、顧客情報・在庫情報の更新など、日々生じるデータの変化を迅速かつ正確にデータベースに反映することができます。そのためデータベースのパフォーマンスを最適化するためのものとして重要です。

BIツールからのデータ参照には、データ操作言語の制御された形式であるSELECT文がBIツールの内部で利用されています。

データの制御

データベースやオブジェクトに対し、権限を付与・剥奪したり、BIツールからのデータベース接続時における制御設定を行う際に用いるのがデータ制御言語(DCL/Data Control Language)です。適切に用いることで、不正な操作を行うユーザーを特定し、データの漏洩や破壊を防止することができます。このように、データ制御言語はデータベースのセキュリティやアクセス制御に欠かせない要素です。

SQLを使うメリット

さまざまなデータベースで利用できる

SQLはISO(国際標準化機構)で規格化されているため、さまざまなリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)で同じように利用することできます。SQLが使用できるRDBMSとしては、例えば以下が挙げられます。

  • MySQL
  • PostgreSQL
  • Amazon RDS
  • Oracle Database
  • Microsoft SQL Server
  • IBM Db2

高度なデータ操作や分析ができる

GUI操作は知識がなくても直感的に操作できるので便利なのですが、複雑な条件設定を行おうとすると「直感的な操作」の手数が多く、面倒さを感じることもしばしあります。SQLを学習すると自分で直接データベースにクエリを投げて操作できるようになるため、高度なデータ操作や分析を行う場合はSQL記述の方が楽に感じる方もいらっしゃいます。

このようにBIツールの機能に縛られず、柔軟にデータの操作・分析ができるのもSQLの魅力です。

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SQL使用時のデメリット

学習コストがかかる

SQLを習得するには一定の時間がかかります。場合によっては研修サービス等を利用しながら学習するケースも考えられるため、一定のコストがかかることを想定した方がいいでしょう。

正しく理解できていないとパフォーマンスが落ちる可能性がある

データの操作は、企業のデータ資産に関わる重要な業務です。そのためSQLを扱う際は正確な知識が求められます。SQLで記述している内容をよく理解しないままクエリを実行してしまうと、時に重いクエリを実行してしまい、パフォーマンスが落ちる可能性が考えられます。

BIツールでデータ操作を行うメリット

GUI操作で直感的にデータ検索処理を作成できる

BIツールのメリットは、知識がなくても直感的にデータ検索処理を作成できる製品が数多く存在することです。そのため業務部門のユーザーが業務に関係するちょっとしたデータをBIツールを使って検索したり、意思決定に活用することも可能です。

データ検索結果を見やすく可視化できる

データ検索結果を表やグラフ、チャートなどで見やすく表現できるのも、BIツールの強みです。パッと見ただけでデータが何を表しているのか分かるような表現は、内容を直感的に理解したい経営層などに好まれています。

BIツールでデータ操作を行う際のデメリット

複雑な処理はSQLを記述した方が効率よく作成・実行できる可能性がある

GUIでデータ検索処理を作成できるのは便利な反面、処理の全体像がわからず継ぎ足し継ぎ足しで処理を作成していると、いつの間にかとても効率の悪い処理になっている可能性があります。

SQLの記述は文字だらけで一見何が書かれているのか戸惑うかもしれませんが、必要なことがそこに書かれているため、処理の全体像が比較的把握しやすいとされています。

BIツールとSQLを組み合わせて活用できるシーン

高度なデータ処理の登録・実行

SQLで作成した高度なデータ処理をBIツールに登録しておけば、いつでも好きなタイミングで処理を実行できるようになります。BIツールによっては決められた時間や任意のアクションをトリガーにデータ検索を実行する、といった自動実行も可能なため、業務の効率化に貢献できます。

ダッシュボードによるデータの可視化

SQLを用いたデータ検索・分析結果をBIツールのダッシュボード機能を使って表現すれば、内容が視覚的に把握しやすくなります。またリアルタイムで結果が表示できるBIツールであれば、ダッシュボードを見ることで素早く今の状況を把握できるようになります。

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効率よくデータ検索・分析を行うためのポイント

SQLチューニング

SQLチューニングは、処理が無駄なく最適なプロセスで実行されるよう改善するための行為です。SQLチューニングを行うことで、システムの負荷を軽減したり、データベースからデータを取得するまでの時間を短縮したりすることができます。

代表的なSQLチューニングとして、以下が挙げられます。

インデックスの使用
  • テーブル全体を検索するのではなく、インデックスを用いてテーブルの該当データにのみアクセスすることで、ディスクI/Oを削減する
  • SQLのWHERE句で条件指定されている項目にインデックスを作成する
SQLの書き換え
  • 副問い合わせ(サブクエリ)を外部結合に変更するなど、SQLを書き換えることで効率よく処理が実行されるようにする
ヒント句の指定
  • インデックスが使用されない、効率的な実行計画が選択されない場合などに、ヒント句を用いて実行計画を制御する
並列処理の実行
  • 大量のデータを検索したい場合にSQLの検索などの処理を内部的に分割し、並列処理をさせることで、処理時間を短縮する
※オーバーヘッドやCPU数、ディスクI/Oの競合など考慮が必要

データモデリング

データモデリングとは、データベースや情報システムの設計プロセスの一部です。データの組織化や構造化、またそれらの関連付けを行うことで、情報を整理し、データモデルを作成します。データモデリングを行うことで、以下のようなメリットがあります。

  • 企業・組織にどのようなデータがあるか把握できる
  • 「データのあるべき姿」が明確化しやすくなる
  • システム開発や保守が効率よく行える

効率よくデータ抽出を行うための流れ

Step1 データベース設計を行う

まずはデータベースの設計を行います。この時、先述したデータモデリングを行うことで状況の可視化・明確化ができます。その他にも、テーブルの重複・複雑さを減少させるために正規化を行ったり、今後の拡張性などを考慮しながらデータベース設計時に取り組むとよいでしょう。

Step2 データを収集・蓄積する

データベースの設計が終わったら、データを蓄積していきます。この時、データが良い品質になるように収集・蓄積していきましょう。例えば、データを入力時にエラーが最小限になるようフォームを設計したり、重複するデータは削除する、一元管理できるようにデータを蓄積するなど、データの品質や一貫性を保つような工夫が必要となります。

Step3 BIツールでデータを検索・分析・可視化する

データが十分に溜まったら、BIツールを使ってデータを検索・分析・可視化をしていきましょう。その際、手間ややりたい内容に合わせてGUIでデータを操作するのか、SQL記述で行うのかを検討しましょう。

弊社におけるお客様のレスポンス改善事例

SQLチューニングによる改善事例

ある製造業のお客様は、情報系データベースを検索したところ、処理に10分ほどかかっており、運用が難しい状況でした。原因を調べると、この処理においてはあまり効率の良くない種類のテーブル結合が選択・実行されていることで、レスポンスが悪化していました。

そこでより適切なテーブル結合を選択・実行するよう、SELECT文にヒント句を記載したところ、10秒で検索結果が返るようになりました。

データモデリングによる改善事例

ある食品製造業のお客様は、データのサイズや件数が膨大で、検索すると30分以上かかった後、タイムアウトしてしまうという事象が発生していました。そこで用途別に集計テーブルを作成することで、検索範囲を限定し、レスポンスを向上させました。

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GUI操作とSQL記述を使い分けて効率よくデータを活用しよう

BIツールはGUI操作によって簡単に操作することができますが、SQLの知識があった方ができることは多いといえるでしょう。ユーザーのスキルややりたいことに合わせて製品を選ぶことで、その効果を最大化することができます。

BIツールによってはGUI操作だけでなく、SQLの記述ができる製品もあります。弊社が提供しているBIツール・WebQuery/Excellentは、GUI操作に加えてSQLの記述もできるため、業務部門のユーザーから情報システム部門・パワーユーザーの方にも使いやすい製品となっております。

ご興味のある方は、ぜひ以下から資料をダウンロードしてみてください。

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