データ活用が進む今、多くの企業が膨大なデータを集めています。しかし、それらのデータをうまく活用できておらず、お困りの方も多いのではないでしょうか。蓄積された膨大なデータを使いこなすために、昨今注目されているのが「メタデータ」です。
この記事では、メタデータの定義や具体的な活用方法、さらには活用を進めるうえでのポイントなどをご紹介します。
お役立ち資料「データマネジメント基礎知識」
メタデータとは
データに関する説明や情報を記述するデータ、すなわち「データについて定義するデータ」を指します。
メタデータにはデータの情報を補足する役割があるため、用いることでデータの分類や検索、整理、活用がしやすくなります。
そのため、単にデータを集めるだけではなく、「意味のあるデータ活用」を実現するための土台として、メタデータの整備が注目されています。

メタデータへの注目が高まっている背景
それでは、なぜメタデータが今、これほど重要視されるようになったのでしょうか。その背景には、データ活用を取り巻く環境の変化があります。
データ蓄積偏重から「意味づけ」への転換
システムの高度化や業務のデジタル化が進む中、「データは資産」という考えのもと、多くの企業が業務データの収集・蓄積を進めてきました。
しかし実際には、「何のデータかわからない」・「どこにあるのかわからない」・「データそのものが信頼できない」といった課題が発生し、せっかくのデータが十分に活用されていない現状があります。
この問題の根本原因として、データの意味や文脈を伝えるメタデータの整備が不十分であることが認識され始めています。
データ活用の民主化
BIツールやデータ分析基盤の進化により、情報システム部門やデータアナリストだけでなく、業務部門が直接データを使う時代になりました。その結果、「専門家でなくても理解・活用できるデータ環境」が求められ、誰でもわかる説明・ナビゲーションとしてのメタデータの重要性が増しています。
ガバナンス強化とコンプライアンス対応の必須化
個人情報や機密データの取り扱いの厳格化が進み、「誰が作ったのか」・「個人情報が含まれているか」など、管理・統制情報として、メタデータが求められています。
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メタデータの3つの役割と効果
メタデータは、データをただ「持っている状態」から、「使える状態」へと変えるために欠かせない存在です。その役割は大きく3つに分けられます。
データの「意味」を伝える
「この数値は何を表しているのか」・「どういう単位なのか」など、データの中身を説明します。データの内容や定義、業務上の意味が明確になることで、誰でも正しくデータを理解し、活用できるようになります。
データを「見つけやすく」する
どこに、どんなデータがあるのかがすぐわかるようにするのも、メタデータの大きな役割です。データ名や作成日時、カテゴリ、キーワードなどを整理し、業務用語や説明文、タグなどで検索性を高めておくと、必要なデータにすぐアクセスできるようになります。
データの「信頼性」を支える
メタデータには、「誰が作ったか」・「いつ更新されたか」・「元のデータソースは何か」といった情報も含まれます。これらが明記されていると、利用者は安心してデータを使用できます。
メタデータの種類と活用例
ひとくちに「メタデータ」といっても、その内容や用途はさまざまです。
ここでは、代表的な3つの種類の特徴と活用例を紹介します。
ビジネスメタデータ
データが業務上、どのような意味を持ち、どのように作成・管理・利用されているのかを説明したメタデータです。業務用語の定義やデータの使い方、責任者など、現場での理解と活用を助ける情報が含まれます。
活用例
- 業務用語やタグなどを登録することで、データカタログの検索性を向上させる
- データを理解・活用しやすくさせ、データリテラシーを底上げする
- 部門間での表現のズレをなくし、データ定義を標準化させる
- 問い合わせ先や意思決定の所在を明らかにし、データオーナーや責任者を明確化する
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テクニカルメタデータ
データがシステム上どのように構成・保存・処理されているかを記述したメタデータです。データ基盤の運用・保守、トラブル対応、変更管理などに役立つ情報であり、主に情報システム部門やエンジニアが利用します。
活用例
- データ連携の設計時に、どのシステムからどのタイミングでデータが流れてくるかの把握する
- システム内にどんなテーブルやカラムが存在しているかの整理し、データ資産の棚卸を行う
オペレーショナルメタデータ
データが実際に運用される中で「いつ」・「どのように」使われたか、あるいは処理されたかなど、利用状況や実行履歴に関する情報を示すメタデータです。
活用例
- 「誰が・いつ・どのデータにアクセスしたのか」といった証跡を管理し、監査対応やガバナンスの強化に役立てる
- データの利用実績に基づいて、利用頻度の低いデータを棚卸・アーカイブし、保守・運用コストの最適化を図る
メタデータを活用・管理するためのコツ
メタデータの整備は、一気に完璧を目指すと大変で続きません。ここでは、実際にメタデータを活用・管理する際に押さえておきたい4つのコツをご紹介します。
スモールスタートで行う
最初からすべてのデータにメタデータを付けようとすると、手間とコストがかかり、継続が難しくなります。まずは小さな単位で始めて、効果を実感できる範囲から取り組みましょう。小さな成功体験を重ねることで、社内の理解や協力も得やすくなります。
まずは重要な業務データから説明をつけ始める
売上や顧客など、業務でよく使われるデータから優先的にメタデータを整備しましょう。よく使うデータに対して意味付けを行うことで、すぐに業務部門の利便性が高まり、メタデータの価値が伝わりやすくなります。また、対象を絞ることで、関係者との合意形成もスムーズになります。
タグ付けのルールを決める
タグは、業務用語や部門名など、実際の使われ方に合わせて決めるのがポイントです。あらかじめ命名ルールや分類の方針を決めておくことで、整理された状態を保ちやすくなります。また、ルールの共有は、属人化を防ぐうえでも重要です。
セキュリティやアクセス制御を適切に行う
メタデータには、データの持ち主や情報の性質など、機密性の高い内容が含まれる場合もあります。そのため、誰がどのメタデータを閲覧・編集できるかをあらかじめ設定し、適切な権限管理を行いましょう。これにより、誤操作や情報漏洩のリスクを防ぐことができます。
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まずは全体を把握し、少しずつ進めよう
メタデータは、データを「使える資産」に変えるためのとても重要な役割を持っています。
まずは小さな範囲からメタデータの整備を始めて、業務の中でその価値を実感してみてください。
少しずつでも着実に進めることで、社内のデータ活用がもっとスムーズになり、みなさんの仕事もずっと楽になるはずです。
データ活用環境の整備にご興味のある方は、ぜひ以下からホワイトペーパーをダウンロードしてみてください。