DX推進に伴い、脱Excelへの注目度は増しています。しかしExcelは日本のビジネスに深く浸透しているため、どのように脱Excelを進めればいいか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
この記事では脱Excelが提唱される背景やそのメリットを確認し、脱Excelの進め方やExcelに代わるツールをご紹介します。
脱Excelとは
脱Excelとは、Excelが不得意な業務を別の手段に置き換えることです。Excelが抱える制約を乗り越えるためには、より適切なツールやソリューションを選択し、業務の効率化や品質向上を目指す必要があります。
しかし業務の状況によってはExcelを使い続けることがベストな場合もあります。他のツールを用いてExcelの弱点をカバーしつつ、その強みを業務に活かすことは活Excelと呼ばれています。
いずれにせよ、Excelが得意なこと・不得意なことを理解し、脱Excelするのか、それとも活Excelを選択するのかを検討することが重要です。
脱Excelが提唱される背景
脱Excelが提唱される背景として、近年ではDX推進の流れもあり、大量にデータを扱う機会やデータ分析結果をもとに意思決定を行う機会がますます増えていることが挙げられます。
Excelで大量のデータを分析しようとすると、処理に時間がかかったり、メモリ不足でうまく動かない可能性があります。またExcel管理のデータは最新の情報がどれかわかりづらく、共有する際も共有フォルダへの配置やメールでの送付など、ひと手間が必要です。
そのため業務に対し本当にExcelを使用することが適切なのか、検討する必要があります。
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脱Excel のメリット
業務をExcelから別のツール・システムに変更することで、以下のようなメリットがあります。
人的ミスの削減
Excelへのデータ入力や計算を手作業で行っている場合、人的ミスが発生する可能性が高まります。専用のツールやシステムを使って作業を自動実行することで人的ミスを削減し、作業効率の改善とともに、データの信頼性を向上させることができます。
業務属人化の解消
Excelに作業者しか分からないマクロやVBAが設定されていると、他の人が操作するのが難しくなり、作業が特定の人に依存してしまうリスクがあります。あらかじめ業務でやりたいことが実現できる機能を持ったシステムやツールの使用により、個人のExcel業務スキルに頼った状態を解消し、業務標準化に役立てることができます。
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バージョン管理の容易化
複数人でExcelファイルを編集しようとすると、バージョン管理や変更履歴の追跡が困難です。共同編集プラットフォームやデータベースを使用すると、誰がいつ、どのような変更を行ったかを確認でき、バージョン間の差異も把握しやすくなります。
パフォーマンスの向上
Excelで大量のデータや複雑な計算処理を実行しようとすると、処理速度や安定性の面で限界があります。しかしデータベースや専門のデータ処理ツールを使用することで、高速で大規模なデータ処理や複雑な分析が可能となります。また高度な計算や予測分析も行いやすくなり、より正確な情報を得ることができます。
アウトプットの統一
Excelでは作業者ごとに異なるフォーマットやテンプレートを使用することがあり、結果として出力物の一貫性が保たれないことがあります。専用のレポート作成ツールやデータ可視化ツールを用いることで、一つの基準に従った統一されたアウトプットを生成できます。
セキュリティの向上
Excelファイルは個別のファイル単位で管理されるため、機密性やアクセス制御の確保が困難です。データベース管理システムやクラウドベースのデータ処理ツールを使用すると、アクセス権の管理や暗号化、監査ログの取得などが可能となり、データのセキュリティを強化できます。またデータのバックアップや災害対策も行いやすく、データの損失や漏洩のリスクを軽減できます。
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脱Excelの進め方
Excelからの脱却を目指すには、業務の見直しとExcelに代わる最適な方法・手段の検討が重要です。ここでは、脱Excelをスムーズに進めるためのステップをご紹介します。
Step1 現在のExcelを用いた業務のプロセスを分析
まずどの業務でどのようにExcelが使われているのか、状況を把握します。それらの業務に対してExcelを用いるメリットや課題を確認し、Excelを使用し続けるべき業務と、脱Excelすべき業務を見極めます。
Step2 適切な方法・手段の検討
Step1で脱Excelすべき業務が見つかったら、業務効率の改善や質を向上する上での適切な方法・手段を検討します。
この時、単純にExcelから別の手段に置き換えるだけでなく、業務フローそのものを見直す視点があると、よりよい改善案を検討できます。
Step3 教育の実施
方法・手段が決まったら、ユーザーがそのやり方やツールに基づいて業務を遂行できるよう、教育の機会を作りましょう。例えば説明会の実施やeラーニング動画の用意、マニュアルの整備などが挙げられます。
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Step4 継続的な改善
脱Excelの方法・手段の運用開始後は、定期的にフィードバックを集めて、業務プロセスの改善をしていきましょう。
新しいやり方やツールが定着するには、時間がかかります。対象業務のフローやツールの設定を変更するほかにも、教育手段や機会を増やすことも視野に入れつつ、業務の最適化を図りましょう。
脱Excelに使えるツール
ここでは、Excelの代替として活用できるツールをご紹介します。目的や用途にあった、最適なツールを検討する上での参考になれば幸いです。
オンライン共同編集プラットフォーム
複数人でデータの編集を行いたい場合や変更履歴を確認できるようにしたい場合におすすめです。
Googleが提供する「Googleスプレッドシート」は、見た目や操作感はExcelに似ているものの、複数人でのリアルタイムでの編集や共有、また変更履歴の確認が可能です。
プロジェクト管理ツール
プロジェクトの計画やスケジュール、タスク管理などを行うためのツールです。進捗管理や状況のスムーズな共有ができるようになるほか、一部のスケジュールの変更に合わせて全体のスケジュールや関連タスクが連動して変更されたり、複数のプロジェクトを横断的に管理できるので、全体像が確認しやすくなります。
DBMS
DBMS(Database Management System/データベース管理システム)は文字通りデータの管理を目的としています。大量データの格納、管理、整理、検索などを行えるため、データ管理業務の効率化やデータの品質を保つのに役立ちます。
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最適な代替手段を見極めて、脱Excelに取り組もう
Excelは「柔軟に・気軽に使える」というメリットがあったからこそ、日本企業で長年使われてきました。Excelの業務に対する得手・不得手を理解してから、最適な代替手段を見極めることが、脱Excel実現への近道です。脱Excelに取り組む際は、Excelへの理解を深めた上で取り組んでみてください。
もしExcelの代替手段としてBIツールにご興味がある場合は、ぜひBIツール導入のポイントを紹介した、以下のホワイトペーパーをダウンロードしてみてください。