BIツールとExcelの違いとは?機能と活用シーンを比較

表計算ソフトとしてなじみがあることから、Excelをデータ分析に使用している方も多いのではないでしょうか。しかし近年はDX推進の風潮もあり、BIツールの導入を検討する企業も増えてきました。

この記事ではBIツールの導入を検討している方々に向けて、BIツールとExcelの違いやExcelのみを使い続けることのリスクを確認したうえで、使い分けのポイントをご紹介していきます。

お役立ち資料「BIツール導入 成功のポイント」

Excelがデータ分析でできること

Excelがデータ分析においてできる主なこととしては、「基本的なデータ集計および分析」と「VBAやマクロを用いた定型業務の自動化」があります。

基本的なデータ集計および分析

BIツールでよく行われる予実分析、ABC分析、RFM分析、相関分析は、Excelでも行えます。
これらの分析について、簡単に説明します。

予実分析

経営管理や予算管理などで、予算や計画と、実績・結果を比較する際に用いられる手法です。目標に対する進捗状況を評価し、必要な改善策を検討します。

ABC分析

ABC分析とはデータを上位から順にABCのグループに分け、構成比率を分析する手法です。上位のグループに着目することで、売上の大部分を占める重要なセグメントを特定します。

RFM分析

RFM分析では最新購入日(Recency)、購入頻度(Frequency)、購入金額(Monetary)を指標に顧客をグループに分けることで、顧客の購買パターンを把握します。これにより顧客の購買パターンに応じた施策が検討できます。

相関分析

2つの変数の関係性を測定するための手法です。相関係数を用いて、2つの変数がどの程度関連しているかを判断します。プラスの相関、マイナスの相関、または相関がない場合があります。

相関関係を誤って因果関係として関係づけてしまうケースもよく見受けられるため、注意しましょう。

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VBAやマクロを用いた定型業務の自動化

VBAやマクロを用いれば、Excelを使った定期的なレポート作成や分析業務を自動化できます。

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分析に使えるExcelの機能

分析ツール機能

関数を書かなくても、データを選択するだけでデータを集計し表やグラフ化してくれる機能です。基本統計量や回帰分析など、19種類の分析を行えます。また、データを表やグラフで表現することも可能です。

Excelのアドインで「分析ツール」を設定すると、使用できるようになります。

(参考)分析ツールを使用して統計学的および工学的分析を行う

Excelがデータ分析でできないこと

データ分析でExcelが苦手とすることとしては、以下が挙げられます。

大規模データの処理

Excelのワークシートの上限は、1,048,576 行×16,384 列です。また列の高さや文字数などにも制限があり、ビッグデータを扱うには限界があります。

(参考)Excel の仕様と制限

また処理速度がPCのスペックに依存するため、大量のデータを一度に処理すると負荷が大きくなり、時間がかかります。場合によっては、データがクラッシュするリスクもあります。

高度なデータ分析

Excelで基本的なデータ集計および分析はできるものの、Excelでは難しい分析フレームワークもあります。

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複数の外部データソースとの統合

ExcelはスプレッドシートやCSVファイルをデータソースにすることは可能です。しかしその他のデータソースは、スプレッドシートやCSV形式に変換しないと、Excelで扱うことができません。そのため、複数の外部データソースとExcelの統合は、手間がかかり、困難です。

リアルタイムデータの取得

データに更新があった場合、Excelは逐一手動で更新していく必要があります。手動での更新は作業ミスが起こるリスクもあります。このように、Excelでリアルタイムのデータを取得するには限界があります。

Excelのみを使い続けることのリスク

Excelはデータ分析の入門ツールとしては使いやすいのですが、Excelのみを使い続けることには、以下のリスクがあります。

セキュリティに乏しく、データの更新履歴を確認できない

Excelは誰でも簡単に扱える半面、悪意のある改変や作業中のうっかりミスなどでデータが変更・削除されてしまうリスクも高まります。

上記のリスクに対し、BIツールはそれらが起こらないよう未然に防ぐことに加えて、万が一起こってしまってもログで作業履歴を追うことで、原因を探ることが可能です。

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作り込まれたExcelの保守がしにくく、属人化しやすい

社内のExcelに関するスキルを持った人(通称:Excel職人)が、マクロやVBAを駆使してExcel上の処理を自動化している、という企業もあるかと思います。

しかしそういった複雑な処理が組み込まれたExcelの保守・管理は属人化しやすく、その人がいないと処理の変更や修正が難しくなる、という面があります。

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ファイルが破損する可能性がある

作業中にExcelファイルが急にフリーズしたり、落ちてしまうといった事象を未経験の方はおそらくいないでしょう。

自分ひとりで使っているExcelファイルだったら被害は小さいかもしれません。しかし、これが何年も受け継がれてきたファイルで、かつバックアップがきちんと取れていなかった場合、ファイルの破損とともにデータが失われる可能性があります。

Excelでデータを管理する場合、ファイルが破損するリスクが伴う

BIツールとExcelの違い

BIツールもExcelも共にデータを分析することができます。違いとしては以下のような点が挙げられます。

BIツールExcel
分析できるデータ量大量小規模
データソース異なるデータソースを統合できるExcelやCSVファイルのみ
権限付与(セキュリティ)データを扱える人を細かく設定・制限できるExcel自体への細かなセキュリティ設定は難しい
処理の自動実行自動実行の機能を持つものが多いVBS(Visual Basic Script)やタスクスケジューラーなどを使えば可能
データのリアルタイム性リアルタイムで更新されるDBを参照できれば可能リアルタイム性に乏しい
導入の手間手間がかかるPCにはじめから入っていればほとんど手間がない
価格さまざまな価格・ライセンス体系があるPCにはじめから入っていれば無料

このようにBIツールは大量のデータを扱えることに加え、異なるデータソースを統合し、それらのデータを安全に便利に活用するためのツール、ということが分かります。

その一方でBIツールはExcelに比べ導入の手間や費用がかかる傾向があります。しかし将来の投資と考えてBIツールを導入した方がさまざまなリスクを避けられるのではないでしょうか。

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BIツールを活用すべきシーン

大量のデータを素早く・効率的に扱いたい以下のような時には、BIツールの利用がおすすめです。

大量データや複数のデータソースの分析

ビッグデータや複数のデータソースを統合して分析するのは、BIツールが得意とする部分です。

社内に散らばっているデータや長年蓄積してきたデータを分析したい場合は、ぜひBIツールの利用を検討してみてください。

リアルタイム性の高いデータの確認

在庫や作業ステータスなど更新頻度が高くリアルタイム性が高いデータの確認も、BIツールが得意とする部分です。

定期的なレポート作成

月に1度の売上報告などで資料作成に時間がかかっている場合、BIツールを活用すると大幅な時間短縮が実現可能です。
BIツールの中にはあらかじめ処理を登録しておけば、ワンクリックや自動で実行できるものもあります。

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データの可視化・見える化

BIツールはグラフによるビジュアライズが得意な製品を使えば、ダッシュボードで素早く状況を把握したり、報告資料を分かりやすく作ることが可能です。

一方、この部分で業務に対しオーバースペックになってしまったり、そもそも担当者が求めていない機能である場合もあるため、BIツールを選定する際は利用者のニーズを汲んだ上で要件を固めていきましょう。

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Excelを活用すべきシーン

以下のようなちょっとしたデータ業務を行う際は、Excelの利用が便利です。

簡単な集計作業

データ量が少なかったり、個人単位の業務において手元のデータを分析するくらいであれば、Excelを使って気軽に分析した方が、工数が少なく済む場合があります。

BIツールで集計したデータの出力先

「Excelファイルじゃないと取引先がデータを確認できない……!」という声もあるように、日本企業の業務にExcelはまだまだ欠かせない存在です。

また出力したデータをExcelで二次加工して使いやすくする、といった使い方もあります。

目的に応じてBIツールとExcelを使い分けよう

ご紹介したように、Excelだけでデータ管理や分析をし続けることにはリスクがあります。その一方で日本企業の業務にはExcelがまだまだ強く根を張っており、業務からExcelを一掃するのは現実的ではありません。

BIツールとExcelそれぞれの良さを活かして、データの活用や業務を効率化していきましょう。

\つまづく点を知って
失敗を回避!/
BIツール導入
成功のポイント
BIツール導入成功のポイント
BIツール導入時の失敗ケース別に、回避策や対処法、導入を成功させるためのポイントをご紹介しています。
資料内容
  • 第1章 そもそもBIツールとは?
  • 第2章 導入失敗ケースと対策/解決策
  • 第3章 導入を成功させるための流れ