表計算ソフトとしてなじみがあることから、Excelをデータ分析に使用している方も多いのではないでしょうか。しかし近年はDX推進の風潮もあり、BIツールの導入を検討する企業も増えてきました。
この記事ではBIツールの導入を検討している方々に向けて、BIツールとExcelの違いやExcelのみを使い続けることのリスクを確認したうえで、使い分けのポイントをご紹介していきます。
お役立ち資料「BIツール導入 成功のポイント」
BIツールとExcelの違い
BIツールもExcelも共にデータを分析することができます。違いとしては以下のような点が挙げられます。
BIツール | Excel | |
---|---|---|
分析できるデータ量 | 大量 | 小規模 |
データソース | 異なるデータソースを統合できる | ExcelやCSVファイルのみ |
権限付与(セキュリティ) | データを扱える人を細かく設定・制限できる | Excel自体への細かなセキュリティ設定は難しい |
処理の自動実行 | 自動実行の機能を持つものが多い | VBS(Visual Basic Script)やタスクスケジューラーなどを使えば可能 |
データのリアルタイム性 | リアルタイムで更新されるDBを参照できれば可能 | リアルタイム性に乏しい |
導入の手間 | 手間がかかる | PCにはじめから入っていればほとんど手間がない |
価格 | さまざまな価格・ライセンス体系がある | PCにはじめから入っていれば無料 |
このようにBIツールは大量のデータを扱えることに加え、異なるデータソースを統合し、それらのデータを安全に便利に活用するためのツール、ということが分かります。
その一方でBIツールはExcelに比べ導入の手間や費用がかかる傾向があります。しかし将来の投資と考えてBIツールを導入した方がさまざまなリスクを避けられるのではないでしょうか。
Excelのみを使い続けることのリスク
セキュリティに乏しく、データの更新履歴を確認できない
Excelは誰でも簡単に扱える半面、悪意のある改変や作業中のうっかりミスなどでデータが変更・削除されてしまうリスクも高まります。
上記のリスクに対し、BIツールはそれらが起こらないよう未然に防ぐことに加えて、万が一起こってしまってもログで作業履歴を追うことで、原因を探ることが可能です。
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作り込まれたExcelの保守がしにくく、属人化しやすい
社内のExcelに関するスキルを持った人(通称:Excel職人)が、マクロやVBAを駆使してExcel上の処理を自動化している、という企業もあるかと思います。
しかしそういった複雑な処理が組み込まれたExcelの保守・管理は属人化しやすく、その人がいないと処理の変更や修正が難しくなる、という面があります。
「属人化」はネガティブな意味で用いられてることがほとんどです。しかし業務で属人化が進むのはメリットもあるからではないでしょうか。この記事では「属人化は悪いものだ」「属人化は排除すべきだ」と決めつけず、メリットはそのままにうまく付き[…]
ファイルが破損する可能性がある
作業中にExcelファイルが急にフリーズしたり、落ちてしまうといった事象を未経験の方はおそらくいないでしょう。
自分ひとりで使っているExcelファイルだったら被害は小さいかもしれません。しかし、これが何年も受け継がれてきたファイルで、かつバックアップがきちんと取れていなかった場合、ファイルの破損とともにデータが失われる可能性があります。
BIツールを活用すべきシーン
大量データや複数のデータソースの分析
ビッグデータや複数のデータソースを統合して分析するのは、BIツールが得意とする部分です。
社内に散らばっているデータや長年蓄積してきたデータを分析したい場合は、ぜひBIツールの利用を検討してみてください。
リアルタイム性の高いデータの確認
在庫や作業ステータスなど更新頻度が高くリアルタイム性が高いデータの確認もBIツールが得意とする部分です。
定期的なレポート作成
月に1度の売上報告などで資料作成に時間がかかっている場合、BIツールを活用すると大幅な時間短縮が実現可能です。
BIツールの中にはあらかじめ処理を登録しておけば、ワンクリックや自動で実行できるものもあります。
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データの可視化・見える化
BIツールはグラフによるビジュアライズが得意な製品を使えば、ダッシュボードで素早く状況を把握したり、報告資料を分かりやすく作ることが可能です。
一方、この部分で業務に対しオーバースペックになってしまったり、そもそも担当者が求めていない機能である場合もあるため、BIツールを選定する際は利用者のニーズを汲んだ上で要件を固めていきましょう。
ビッグデータの時代と言われてから久しい現在、さまざまなものがデータという形で可視化できるようになりました。しかしそれらを業務の中でいかに活用できるかが、企業において重要な課題となっています。今回は可視化とそれと似た意味で用いられる[…]
Excelを活用すべきシーン
簡単な集計作業
データ量が少なかったり、個人単位の業務において手元のデータを分析するくらいであれば、Excelを使って気軽に分析した方が、工数が少なく済む場合があります。
BIツールで集計したデータの出力先
「Excelファイルじゃないと取引先がデータを確認できない……!」という声もあるように、日本企業の業務にExcelはまだまだ欠かせない存在です。
また出力したデータをExcelで2次加工して使いやすくする、といった使い方もあります。
目的に応じてBIツールとExcelを使い分けよう
ご紹介したように、Excelだけでデータ管理や分析をし続けることにはリスクがあります。その一方で日本企業の業務にはExcelがまだまだ強く根を張っており、業務からExcelを一掃するのは現実的ではありません。
BIツールとExcelそれぞれの良さを活かして、データの活用や業務を効率化していきましょう。