Accessは、手軽にデータベースを構築できるツールとして長年利用されてきました。一方で、「Accessは時代遅れではないか?」という意見もあります。しかし、Accessは現在も業務で活用されており、すべてのケースで不要になったわけではありません。
この記事では、Accessがなぜ時代遅れと言われるのか、その背景や利用に適した場面、また代替ツールを選ぶ際のポイントなどについて解説します。
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Accessとは
まず、Accessの概要と使われ方、Excelとの違いについてみていきましょう。
Accessはデータベース管理ソフト
Accessとは、Microsoftが提供するデータベース管理ソフト(DataBase Management Software/DBMS)です。そのため、データベースの作成やデータの追加、更新、削除などを行うことができます。また、データをまとめて報告書や一覧表として出力するためのレポートや、データ入力や表示に使用するフォームを作成できるため、業務システムの簡易開発ツールとしても長年利用されてきました。

AccessとExcelの違い
Microsoftが提供するソフトウェアにはExcelもあります。Excelでデータを扱うこともあったり、Excelがデータベース機能を有していることから、両者の違いを尋ねられると、戸惑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
AccessとExcelの違いは、利用目的にあります。
Accessがデータベース管理ソフトなのに対し、Excelは表計算ソフトとして、表やグラフの作成や計算を行うためのツールです。そのため、厳密なデータ管理・蓄積には向いていません。
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Accessはなぜ時代遅れといわれるのか?
Accessに対して「時代遅れ」という指摘がなされる背景には、データ活用の高度化やクラウドサービスの普及、セキュリティ要件の変化など、さまざまな要因が影響しています。ここでは、Accessが時代遅れとされる主な理由についてみていきましょう。
Excelの機能拡張
ExcelはピボットテーブルやPower Queryなど、機能拡張によってデータ集計や分析の柔軟性が向上しました。Excel単体でできるデータ処理が以前より増えたことから、Accessを使わなくても済む場面も増えています。
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クラウドサービスの普及
クラウド型のデータ管理ツールやBIツールの普及により、インターネット環境があればどこからでもデータにアクセスできるようになりました。それに対し、Accessは基本的にローカル環境で動作するため、リモートワークやチームでの共同作業が不向きとされています。
データ規模の拡大
DXの推進やIoTの普及に伴い、企業に蓄積されるデータの量は増えています。しかしAccessはデータベースのサイズが2GBまでという制限があるため、近年ニーズが高まっている大規模データの管理は困難であるといえます。
代替ツールの台頭
ノーコード・ローコード開発ツールやクラウド型データベース、BIツールなど、多機能で使いやすいツールが増えてきました。これらのツールは、Accessよりも拡張性が高く、他のシステムとの連携も容易であるため、Accessの役割を置き換えるケースが増えてきています。
セキュリティリスクが高い
Accessは、データをローカルファイルとして管理するため、アクセス権限の制御やデータ保護の面でリスクが伴います。特に、複数のユーザーで運用する場合、データの整合性やバックアップ管理が課題となり、より高度なセキュリティ対策が求められる環境での利用は難しいでしょう。
Accessは小規模利用に適している
先述したように、Accessはデータベースのサイズが2GBまでであるため、小規模のチームにおいて、シンプルなアプリケーションを作成したい場合に活用できます。例えば、以下のような用途に適しています。
- 顧客管理、問い合わせ管理、在庫管理など、社内向けの簡易的・小規模なデータベースを作成したい
- 専門的なプログラミング知識を用いずに、GUIベースで簡易的なフォームやレポートを作成したい
また、Officeのアプリケーションとして利用できるため、追加のデータベースソフトウェアを導入するコストを抑えることが可能です。
大規模・リアルタイム利用はAccessからの移行がおすすめ
以下のような場合は、Accessからのツール移行がおすすめです。
ツール移行によって、データ処理速度や利便性などが改善される可能性が高いと考えられます。
- セキュリティリスクを抑えつつ、業務標準化を行いたい
- 大人数で2GB以上のデータを扱いたい
- リアルタイムデータを集計・分析・共有したい
Accessからの移行の進め方
ツール移行は、計画を立ててステップごとに進めましょう。ここでは、Accessからのツール移行を効果的に進めるための5つのステップを紹介します。
Step1・現在のAccessの用途を整理する
まず最初に、現在Accessでどのような業務やデータ管理が行われているかを整理しましょう。具体的には、利用しているデータベースの規模、ユーザー数、主要な業務フローやアクセス頻度などが把握などが挙げられます。また、使用しているフォームやレポート、クエリなどの機能も整理し、それらが移行後のツールでも必要かどうかを確認しましょう。
Step2・要件を洗い出す
次に、業務に必要な機能や条件を洗い出し、移行先ツールに求める要件を明確にします。ここでは、アクセスしたいデータの規模や操作性、セキュリティ、レポート作成、可視化や共有の機能など、業務に不可欠な要素をリストアップします。また、将来の拡張性や他システムとの統合要件も考慮し、ツールに求める要件を明確にしていきましょう。
Step3・代替ツールの選定・比較
要件が整理できたら、それをもとに代替ツールを選定・比較します。要件に合わせて、Accessの代替ツールを選ぶ際の観点も参考にしてみてください。
Step4・導入・各種設定
利用するツールが決まったら、運用の準備を整えていきましょう。まずは、ツールのインストールやクラウドサービスの契約を行い、システムの設定を行います。データのインポートやエクスポート設定、ユーザー権限の設定、運用ルールを定義することが求められます。ツールが業務に適合するように各種カスタマイズや設定を行い、利用開始に向けての準備を整えます。
Step5・ユーザー教育・サポートの実施
ツール導入の完了後、最も重要なのはユーザーが新しいツールを使いこなせるようになることです。ユーザー教育は、ツールの基本操作から高度な機能までをカバーする必要があります。研修やトレーニングを実施し、ユーザーが日々の業務でスムーズに新しいツールを活用できるようサポートを行いましょう。また、サポート体制を整え、疑問や問題が生じた際に迅速に対応できる体制を確立することが成功のカギとなります。
Accessの代替ツールを選ぶ際の観点
Accessからのツール移行を検討する場合、業務要件に合った適切なツールを選ぶことが重要です。ここでは、Accessの代替ツールを選ぶ際の観点の例をご紹介します。
データベース機能
スケーラビリティや処理性能、データの整合性を確保する機能が備わっているかなど、データベースとしての基本機能を確認しましょう。また、リレーショナルデータベース(RDB)を扱えるか、NoSQLのような柔軟なデータ管理が可能かも、業務要件によって考慮が必要です。
レポート作成・データ分析機能
自社の業務に必要なレポート・分析機能が備わっているかを確認しましょう。観点の例としては、BIツールと統合できるか、ダッシュボードが作成しやすいか、リアルタイムデータの分析機能があるか、などが挙げられます。その際、高度な分析・可視化機能に目を奪われがちですが、業務や自社が持つスキルに対してオーバースペックとなるケースもあります。ツールの持つ機能が、自社の業務要件とコストとのバランスがよいかどうかも、注意深く検討しましょう。
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運用形態
社内のデータ管理ポリシーやセキュリティ要件に応じて、オンプレミス環境で運用するのか、クラウドサービスを活用するのかを選択する必要があります。オンプレミスの場合はサーバーの用意、クラウドの場合、データのバックアップ体制や、インターネット接続環境の用意などが必要です。
ツール拡張性・統合性
API連携のしやすさや、ERPやCRMなど、他の業務システムとの統合が可能かどうかを確認しましょう。また、将来的な拡張を見据え、追加機能の開発やカスタマイズが容易かどうかも重要なポイントです。
コスト
ツールによってはライセンス費用や運用コストが大きく異なります。初期導入費用だけでなく、ランニングコスト、ユーザー数に応じた料金体系、追加機能のコストなどを考慮し、総合的なコストパフォーマンスを確認しましょう。
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サポート体制
ベンダーのサポート体制、トラブル対応のスピード、コミュニティの活発さなどを確認しましょう。また、技術者向けのドキュメントやトレーニングの充実度も、ツールの導入・運用をスムーズに進めるために重要です。
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セキュリティ要件
データの暗号化、アクセス権限の細かい設定、ログ管理機能、バックアップ・リカバリーの仕組みなど、セキュリティ対策が十分かどうかを確認しましょう。特にクラウドサービスを利用する場合は、データ暗号化やバックアップ機能があるかなども重要です。
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Accessからの移行事例
ここでは、弊社お客様のAccessからの移行事例をご紹介します。
帳票作成業務の負担を軽減し、迅速&正確な情報提供を実現
学習塾を運営する株式会社河合塾マナビス様は、以前はAccessを用いて半日かけて帳票を作成していました。しかし作成効率に加え、情報提供のスピードや精度にも問題があったため、BIツールへの移行を決定。導入後は帳票作成業務を30分弱まで短縮させ、データ精度も向上しました。
目的に合致したツールで、業務を効率化しよう
Accessは2GB以下の小規模なデータを少人数で扱うのに適したツールであり、適した場面で使用できれば、とても便利なツールです。しかし、もし扱いたいデータの量が今後2GBを超える可能性が高かったり、大人数でリアルタイムのデータを扱いたい場合は、ぜひツールの移行も検討してみてください。
弊社には、AccessからBIツール・WebQuery/Excellentへの移行実績も多数ございます。もしBIツールにご興味のある方は、ぜひ以下からお気軽に資料をダウンロードしてみてください。